広告運用の「見張る・分析する・提案する・実行する・報告する」をAIが担い、担当者は提案を承認するだけにする。株式会社Lifunextが2026年10月5日に提供を始めた「Marketing AI」は、そういう作り方のツールです。

これまで担当者が毎朝数字を見て、原因を考え、設定を直し、レポートを書いていた流れのうち、人の仕事は「目標を決める」と「AIの提案を承認する」に絞られます。広告を自分で回している担当者や小規模事業者、運用を外注していて中身を把握したい人に関係する発表です。

本記事では実際のアカウント登録・利用は行っていません。公式サイトとプレスリリースの記載(2026年10月5日時点)に基づいて整理します。

迷ったらこれ:まず月0円のフリープラン

広告運用の見張りと報告に時間を取られている人は、まずフリープランで試すのが無理のない入り口です。公式の記載では、月0円・期限なし・初期費用0円で、契約時に2,000クレジットが付き、「自動で有料プランに切り替わりません」とあります。

フリープランの条件と対象外の機能をまとめた図
フリープランは無料で試せるが、提案を反映する機能は有料プランから
  • 得られるもの: 28画面のレポート機能と、媒体・GA4との連携。申込の翌朝からレポートが届く流れです
  • 最初の5分でやること: 自社の広告媒体が対象に入っているかを、下の対応媒体の表で確かめる。入っていれば公式の「フリープラン」問い合わせへ進む
  • 合わない人: 提案を受けて反映する運用がすぐ必要な人。広告診断・改善提案・本番反映はフリープランでは使えません。使うには有料プランへの切り替えが要ります

広告運用は何が変わるのか(Before→After)

公式の説明を5工程に並べると、次のとおりです。

見張りから報告までの5工程と人の判断を示す流れ図
AIが担う5工程のそれぞれに、人が判断する場面が残る
工程これまでMarketing AIでは人が判断すること
見張り担当者が管理画面で数字を見る予算の急な消化は15分ごと、成果の急減やLPの停止など10項目は毎日点検し、Slack・メールで通知(プレスリリースの記載)通知を見て、どう対応するか決める
分析担当者が原因を調べるデータを読んで原因を特定する。AIチャットで確認の過程を見られる分析の中身に納得できるか
提案担当者が改善案を考える毎朝、日予算・入札の調整、除外キーワード、配信先の精査、広告の疲弊などの改善案を根拠つきで作る提案を承認するか決める
実行担当者が設定を変更する承認された内容だけを媒体へ反映する承認と、専用の権限を持つ人による本番反映
報告担当者がレポートを書くAIコメント付きの日次・週次(月次)レポートを配信する内容の確認

公式FAQの言い方が、この製品の考え方をいちばんよく表しています。「AIが行うのは分析と提案までです。媒体に反映されるのは担当者が承認した内容だけです」。つまり「承認するだけ」とは、AIが勝手に広告を動かすのではなく、人が通した変更だけが媒体に届くという意味です。

見張る対象は3種類

公式のWeb広告ページによると、AIが見張るのは次の3種類で、危険度は4段階に分かれます。

  • 費用の異常: 急な予算消化、CPA(1件の成果にかかった費用)の悪化、費用が出ているのにコンバージョン(成果)がゼロ
  • 機会損失: コンバージョンの停止、配信の減少、設定変更後の成績悪化
  • 設定事故: リンク切れ、P-MAX(Googleの自動配信キャンペーン)の異常、期限切れの広告文

PCA AIエージェントでも同様に、異常検知を機械で行い人が確認する設計が採用されています。

何ができて、どこからが人の仕事か

人が実行できる操作として、公式は日予算・入札・見出し・リンク先の変更と、予約配信の停止・再開を挙げています。変更の履歴はSlackに通知されます。

変更幅の上限や権限分離など歯止めをまとめた図
提案には上限があり、反映は権限を持つ人の承認が前提になる

任せきりにならないよう、いくつか歯止めが書かれています。

  • 変更幅の上限: 予算変更と入札調整の提案は±20%まで、除外キーワードは1回20件まで(公式サイトのFAQ・共通機能ページ)
  • 権限の分離: 管理者・運用者・入稿担当・レポート担当・閲覧者の5種類。契約・アカウント・案件の単位で付与でき、本番反映は専用の権限を持つ人だけが実行できます
  • データの扱い: プレスリリースによると、データはAIの学習に使いません。FAQでは日本国内のGoogle Cloudに案件ごとに分けて保管するとあり、サポートが閲覧する場合は理由を添えた一時的な許可が必要です

承認の前に人が見ておきたいのは、予算・入札の変更が自社の目標に合っているか、除外キーワードが売上につながる語を巻き込んでいないか、といった点です。承認が提案1件ごとか一括かは公式の記載からは読み取れないため、気になる人は申し込み前に問い合わせで聞いておくと安心です。

公式ページどうしで数字が食い違う箇所もあります。予算変更の幅は、サイトが±20%、プレスリリースが「1回±30%まで」です。検知の頻度も、プレスリリースの「予算消化は15分ごと」に対し、Web広告ページには「毎日」とあります。夜22時〜朝6時は反映しないという記載はプレスリリースだけです。本記事ではサイトの値を現行の仕様として扱いました。上限や頻度が運用の判断に効く人は、申し込み前に公式で最新の値を確認してください。

対応する広告媒体

範囲媒体
入稿まで(提案を媒体へ反映)Google、Yahoo!検索、Yahoo!ディスプレイ、Microsoft、Meta、TikTok、X
実績データの取り込み上の7媒体に、Criteo、Logicad、SmartNewsを加えた10媒体

プレスリリースにはGA4とSearch Consoleへの言及もあります。GA4をAIエージェントで分析、Sprocketが対応拡大の記事でも、複数媒体のデータを一元視できるツールについて整理しています。反映できるのは入稿まで対応の7媒体です。CriteoやLogicadなどで運用している場合は、数字を見る範囲には入っても、AIの提案を承認して反映する流れの対象かは分けて考える必要があります。

入稿まで対応の7媒体と取り込みのみの3媒体の比較
提案を反映できるのは7媒体で、残り3媒体は数字を見る範囲にとどまる

料金と始め方

プラン月額主な内容
フリープラン0円(期限なし・初期費用0円)レポート機能(28画面)、クレジットを使うAIチャット、媒体とGA4の連携。2,000クレジット付与。過去データは直近3か月。広告診断・改善提案・本番反映は対象外
事業会社プラン1案件あたり50,000円(税別)・初期費用0円・最低6か月(以降1か月ごとの自動更新)アラート・診断・入稿・バナー生成を含む。月50,000クレジット付与。媒体の接続時から過去36か月分のデータを取得
代理店プラン要相談(最低6か月)契約・アカウント・案件の3階層管理、案件横断ダッシュボード、役割ごとの権限と監査

事業会社プランはプレスリリースでは「インハウスプラン」の名前で出ています。同じものを指しています。

フリー・事業会社・代理店プランの料金と内容の比較
有料化の分かれ目は、診断・提案・本番反映が使えるかどうか

フリープランは月0円・期限なし。

Marketing AI(Lifunext) を無料で始める(公式)

クレジットの仕組み

AIチャットやバナー生成にはクレジットを使います。公式の価格は10,000クレジット=1,000円(税別)で、1,000円分から買えます。有効期間は6か月で、料金は広告費に連動しません。

公式の消費量をもとにした計算です(目安)。

  • AIチャットは1回およそ100〜300クレジットなので、フリープランの2,000クレジットで約6〜20回
  • バナー生成は1枚130クレジットなので、事業会社プランの月50,000クレジットなら約380枚
  • 50,000クレジットは金額にすると5,000円分

LPO(サイト行動分析)は月30,000円から(料金ページでは月30,000〜50,000円・ページビュー別)、コンサル支援は個別見積です。支払い方法はクレジットカードか、社内審査のうえでの請求書払いです。

導入の流れ

公式のトップページに書かれた手順は次のとおりです。

  1. 問い合わせまたはフリープランを申し込む(窓口は「フリープラン」と「資料ダウンロード」の2つ。営業日1日以内に担当者から連絡があります)
  2. 媒体・GA4・Slackを接続し、コンバージョンの設定・予算・目標を入力する
  3. 翌朝からレポートが届く
  4. 有料プランに切り替えると、反映の機能が開く

向いている人・向かない人

向いていると考えられる人

向いている人と向かない人の比較
自分の媒体と運用の握り方に当てはめて、向き不向きを確かめる
  • 毎朝のデータ集めと日次チェックが負担で、AIが作ったレポートを見る形に替えたい人。公式も、毎朝データを集める形から日次レポートを見る形へ、異常を事後に見つける形から段階別の通知へ、という変化を訴求しています
  • 入稿まで対応の7媒体で運用していて、改善案の検討に時間を使っている小規模事業者
  • 運用を外注していて、何が起きているかを自分でも把握したい人。みずほCoworkのようなAIプラットフォームでも、運用の可視化と人による承認を同時に実現する設計を採用しています

向かないかもしれない人

  • 運用の主力がCriteo・Logicad・SmartNewsなど、入稿まで対応していない媒体の人
  • すべての配信判断を自分で握りたい人。提案は±20%などの幅に収まり、反映は承認が前提なので、大きく動かす判断は人の側に残ります
  • 月50,000円(税別)・最低6か月の契約に見合う広告運用の規模かを、まだ判断できない人。その場合はフリープランでレポートを見てから考えるほうが順序として無理がありません

導入事例や効果の数値は、公式にはまだ載っていません。「運用の工数がどれだけ減るか」は、公開されている情報では判断できない段階です。

今日やる最初の一歩

提供開始直後のため、判断材料は公式の記載に限られます。それでも、次の3つを自社で決めておけば、問い合わせの質が上がります。

問い合わせ前に決める3つの手順
3つを先に決めておくと、問い合わせの質が上がる
  1. 自社の広告媒体が、入稿まで対応の7媒体に入っているか
  2. 承認フローで見たい項目(予算変更・配信停止など)を3つ書き出す
  3. 導入後に誰が承認し、何をAIに任せない範囲にするか

今日やるなら、自社の媒体が対象かを確かめたうえでフリープランの問い合わせに進むところまでです。フリープランは月0円で期限もなく、有料への自動切り替えもないと公式に書かれているので、レポートを見ながら提案機能が自社に必要かを落ち着いて判断できます。

もっと詳しく

  • 今後の予定として、報告資料・定例資料の作成、SNS投稿の作成・予約・集計、LP作成・改善支援が、いずれも準備中と案内されています
  • 他社の広告運用自動化ツールとの比較は、今回の整理には含めていません
  • 業務のほかの工程でAIが「提案して人が承認する」形になった例は、PCA AIエージェントのレポート作成の記事でも整理しています